口腔内に「できもの」が生じると、数日間に及ぶ痛みとの闘いが始まります。痛みや違和感で、日常生活に支障をきたすという方も中にはいらっしゃるでしょう。
口内炎といえば粘膜や舌にできるイメージが強いかもしれませんが、歯茎に生じるケースもあります。ただ珍しいことなので、これまでに経験がない方も多いかもしれませんね。
今回は「歯茎にできる口内炎」について、深掘りして解説します。
普段あまり炎症を起こさない方も、今後何かあったときに落ち着いて対処できるようぜひ読んでおいてくださいね。

 

症状改善のための基本は「安静に過ごすこと」

歯茎に口内炎ができるのは、比較的珍しい現象です。家族や友人に聞いてもピンと来ず、心配になる方もいらっしゃるかもしれませんね。
「そもそも口内炎って呼べるの?」
と思った方もいるでしょう。口内炎の定義は「口の中で生じた炎症のこと」なので、決して間違った表現ではありません。
疲労やストレスの蓄積、ビタミン類などの栄養不足による免疫力の低下が主な原因です。そこに歯ブラシを強く当てたり、頬の内側の粘膜を噛んだりといった外的刺激が加わることで細菌感染を起こします。
症状改善のためのポイントは、ズバリ「自己免疫力の向上」です。患部へ刺激を与えないよう気を付けつつ、安静に生活していれば1週間前後で自然治癒するはずです。

 

種類について

発生する箇所に関わらず、大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴は次の通りです。

1.アフタ性

一般的な口内炎で、大きさは直径2ミリ~10ミリ程度です。白い円形で、周囲が赤く炎症を起こしているのが特徴です。
刺激物や熱いものを飲み食いすると、強い痛みが生じます。会話のときに歯が患部へ触れ、痛みを感じることもあるでしょう。
先述した通り、免疫力の低下と粘膜からの細菌侵入が主な原因です。不規則な生活や疲労の蓄積など、何か心当たりがある方は注意が必要です。栄養バランスが整った食事を摂り、睡眠時間をたっぷりと確保して心身を休ませましょう。
治癒するまでの数日間は痛みとの闘いですが、2週間前後で自然によくなるはずです。症状が改善されているようであれば、医療機関を受診する必要はないでしょう。

 

2.ウイルス性

次のようなウイルス感染によって、炎症を起こすというケースです。

【2-1.カンジダ】
真菌類(カビ)に分類される常在菌の一種で、普段は口の中にいても悪さをする心配がありません。しかし免疫力の低下で細菌数が増えると、粘膜が炎症を起こします。
口の中に白いコケのようなものが付いている場合、カンジダである可能性が高いです。
赤い斑点状の発疹とともに強い痛みが出ることもあれば、痛みがなく発見が遅れるケースもあります。

【2-2.ヘルペス】
こちらも同様、日本人の9割近くが持っている常在菌です。子どもの頃に親からもらうことが多く、免疫力が低下した際に炎症を起こします。
歯茎や唇に小さな水膨れが密集し、周囲が赤く腫れるのが特徴です。場合によっては強い痛みをともない、患部がただれることもあります。
上記はいずれもウイルス感染によるものなので、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。発覚した時点で受診することが、早期回復への近道となるでしょう。

 

3.ほかの疾患が関係するもの

しばらく経過観察をしても改善傾向にない場合、ほかの疾患が関係しているかもしれません。考えられる主な病気は、次の4つです。

【3-1.ベーチェット病】
難病指定を受けている、原因不明の特定疾患です。口の中に何度も口内炎ができ、同時に皮膚や性器、目の周りにも同じような症状が見られます。
ウイルス感染を併発すると、さらに厄介なので早期発見・治療が重要です。

【3-2.壊死性潰瘍性口内炎】
不規則な暮らしや体調不良によって、免疫力がガクッと下がったときに発症します。
強い痛みをともなう歯肉のただれや、白くて丸い潰瘍が生じるのが特徴です。場合によっては、口臭や出血を起こすことも。
いくら経過観察をしても症状は改善しないので、早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。放置していると最悪の場合、顎骨が壊死したり歯が脱落したりする恐れがあります。

【3-3.HIV(エイズ)】
「ヒト免疫不全ウイルス」への感染によるものです。
経過観察によって、症状が悪化する場合は歯科医院で診てもらいましょう。

【3-4.がん】
大きめの口内炎ができている場合、口腔がんの可能性があります。初めは無症状ですが、進行するにつれて少しずつ痛むのが特徴です。
一般的な口内炎とは外見や症状が異なるので、比較的気付きやすいと思います。何かおかしいと感じたときは、早めに歯科医院を受診しましょう。

 

今回は、口内炎の種類や特徴について詳しくお話ししました。ほとんどのケースは放っておいて問題ありませんが、場合によっては医療機関の受診が必要です。
10日程度経ってもよくならない場合は、ほかの疾患などを疑って医療機関を受診しましょう。何か重篤な病気が発覚するかもしれません。

発見や治療がスピーディーであれば、早期改善が見込めます。最悪のケースになる前に、信頼できる歯科医師のもとで適切な治療を受けてくださいね。

ケン歯科クリニック