スギ、ヒノキ、イネ、ムギなど、花粉症に悩まされている方は非常に多いです。
花粉症は鼻腔に花粉が入り込むことで、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、色々な症状が出て、私たちの生活に支障をきたしてきます。
そんな花粉症ですが、実は、口の中にも悪影響を及ぼすって知っていましたか?
今回は花粉症と口腔内の関連性についてご紹介します。

 

1.【花粉症】のどの症状

花粉症の症状は主に鼻に出ますが、のどの症状を訴える方も非常に多いです。

・のどが渇く
・のどがイガイガする
・のどがかゆい
・たんが絡む
・のどがチクチクする
・のどに違和感がある

シラカンバ花粉のある患者さんの研究結果では、半数以上となる約55%の方にのどの症状(咽頭アレルギー)がみられたことも分かっています。

 

2.花粉が口腔内に与える悪影響

2-1.口呼吸になる

鼻づまりの症状があると、どうしても口呼吸になってしまいます。
そうすると、口腔内が乾き、唾液の持つ自浄作用や殺菌作用、歯の再石灰化の促進、中和作用、免疫作用といった歯の健康を担う重要な役割がはたらかなくなってしまいます。
乾燥した口腔内は細菌が好む環境となり、虫歯や歯周病の原因にもなり得ます。

 

2-2.薬による影響

花粉症の薬の副作用には「眠くなる」などがありますが、「口の乾き」も深刻です。
花粉症以外の薬にもよくみられる副作用ですが、前述の通り、口の中が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなるので注意が必要です。
また、口の中が乾いていると口腔内の粘膜も傷がつきやすくなり、痛みや口内炎を起こしてしまうこともあります。
さらに味の受容体に成分が届きにくくなり、味覚障害を感じることもあります。

 

2-3.口呼吸は全身の健康や見た目にも影響する

私たちは、普段「鼻呼吸」をしていますが、鼻呼吸は鼻の中にあるフィルターでウイルスやホコリを取り除いてから酸素を吸い込めるという利点があります。
しかし、口呼吸になると、ウイルスやホコリが直接口の中に入るため、感染症のリスクが高まります。
また、成長期に口呼吸が習慣化してしまうと、骨格がそれに対応する形で形成され、上顎前突(出っ歯)や口ゴボのような顔つきになってしまうことがあります。
この改善方法としては歯列矯正がありますが、手術をしないと治療できない症例も少なくありません。
もし、小さなお子さんが口呼吸をしている場合には、成長期に入る前に止めさせることが大切です。

 

3.花粉症が歯に痛みに繋がることも?

実は、花粉の飛散の多い春頃は、歯の痛みを訴える患者さまが増えます。しかし、歯に全く異常がみられない、なんてケースも多いのです。
患者さまは不思議がりますが、その理由は、花粉症による副鼻腔炎の影響が考えられます。
副鼻腔は上の奥歯のさらに上にありますが、ここの痛みを奥歯の痛みとして間違えて捉えてしまっているのです。

 

4.花粉症患者さまの口腔ケアのすすめ

花粉症の薬を服用している方、花粉症によって口呼吸が続いている方は虫歯や歯周病のリスクが上昇しているため、この時期の口腔内のケアはより丁寧に行うようにしてください。
また、口の中が乾燥している状態が続かないように、こまめに水分(糖分が含まれていないもの)をとることが大切です。
マスクやメガネ(ゴーグル)など、できるだけ花粉を体内に取り込まないようにし、花粉症の症状が悪化しないように努めてください。

ケン歯科クリニック