ふと鏡を見たら、唇の片端にできものがあったという経験はありませんか?
この正体は「口角炎」で、痛みを伴うこともあります。
放っておけば治るケースが多いため、あまり気にしていない方も中にはいるでしょう。
主な原因は「カンジダ菌」という、口の中に潜む常在菌の一種です。見方によっては、カビとも捉えられます。
本記事では「カンジダ性口角炎」の主な症状や治療法、予防法などを紹介します。
誰にでも起こり得る病気なので、読んでおいて損はありませんよ。

1.完治のポイントは「免疫力を高めること」!

通常カンジダ菌を始めとした口腔内の常在菌は、唾液で量がコントロールされています。
しかし何らかの理由で免疫力が下がると、あっという間に細菌が繁殖します。
逆を言えば、体調の改善に伴い免疫力が高まると、症状は知らず知らずのうちに治まるでしょう。
いわば「口内炎」のようなものですね。

2.主な原因

口角炎ができる一番の原因は「カンジダ菌の活発化」です。
その理由を掘り下げて、5つ紹介します。

2-1.自然治癒能力の低下

自然治癒能力つまり免疫力は、生活習慣の変化によって低下します。
睡眠不足やストレスの蓄積、暴飲暴食などに心当たりがある方は、これに該当するかもしれません。
唇の端から細菌が侵入して、炎症を起こしやすくなるので注意しましょう。その部分は構造上唾液が溜まりやすく、消化酵素の働きで乾燥して裂けやすいためです。

2-2.唾液分泌量の減少

粘膜の表面に棲みつくカンジダ菌が、体内へ入り込むことは基本的にありません。しかしそれは、口の中に十分な唾液があった場合の話です。ストレスの蓄積などによって唾液の分泌量が減ると、粘膜のバリアが破られて細菌の侵入を許してしまいます。

2-3.悪習癖が原因の乾燥

無意識のうちに、唇の周りを舐める癖がある方は要注意です。
唾液に含まれる消化酵素により、直後は潤うかもしれませんがすぐ乾いてしまいます。肌の表面の油分が消失し、乾燥した皮膚へ亀裂が入ってしまうでしょう。
自分自身では気付けないことも多いので、気になる方は家族や仲のよい友人にチェックしてもらってください。

2-4.処方薬の影響

抗生物質などを長期間服用していると、効き目のある細菌が徐々に減っていきます。中でもカンジダ菌は、真菌なので抗生物質が効きません。少しずつ繁殖し、やがて炎症を起こすでしょう。

2-5.栄養不足

栄養不足も、原因の一つとして挙げられます。特にビタミンB2・B6・B12が足りなくなると、発症しやすくなるので注意してください。ミネラルや鉄分の摂取も重要です。
バランスがよい食事を摂ることは、予防だけでなく発症した場合の早期改善も見込めます。

 

3.治療法と対処法

3-1.抗真菌薬の服用

カンジダ菌は真菌なので、抗真菌薬が有効です。皮膚科や内科を受診すれば「ミコナゾール」や「アンホテンシンB」といった抗真菌薬を処方してもらえるはずです。

 

3-2.免疫力を高める

生活習慣を見直し、免疫力を高めるのも有効な対処法です。バランスのよい食事を摂り、十分な睡眠を取って心身を休ませてください。就寝前に、唾液腺のマッサージをして唾液分泌量を促進させるのもおすすめです。
ただ、発症して2週間が経過しても治らない場合は、ほかの病気が潜んでいるかもしれません。早めに医療機関を受診しましょう。

 

4.予防法

口角炎は一度発症すると、治るまでにしばらく時間がかかります。その間、見た目が気になる方もいるでしょう。
それを考えると口角炎は、発症しないことが一番です。
次の2つのポイントに注意し、予防に励んでください。

 

4-1.同じ薬を長期間飲まない

何らかの理由で薬を長期間服用していると、それが原因で口角炎を発症する可能性があります。疾患の治療も優先しなければなりませんが、頻繁に口角炎ができる方や治癒に時間がかかる方は相談してみるのもよいでしょう。

 

4-2.口の中を清潔に保つ

適切なケアで、口腔内を常時清潔に保ちましょう。唾液の分泌量が減らないよう努めるのも、細菌の繁殖を予防する大切なポイントです。

 

5.生活習慣を改善して予防に励もう!

口角炎ができると、口を開くたびに痛みが出る期間が続きます。傷口のようになってしまうほか、日常会話や食事に支障をきたしてストレスにつながることもあるでしょう。
生活習慣や服用薬の見直しによって自然治癒が見込めますが、2週間程度経っても改善しない場合は医療機関の受診をおすすめします。
カンジダ性口角炎と診断されれば、抗真菌薬の服用で回復が期待できるでしょう。
併せて、予防に注力することも忘れてはなりません。
日頃から規則正しい生活を心がけ、口の中を清潔に保ちましょう。献立を工夫したり、睡眠時間を十分に確保したりするのも大切なポイントです。
ぜひ、意識的に生活してみてくださいね。

ケン歯科クリニック