口臭の原因と対策・治療法は?【後編】
前回は「起床時の口臭」をテーマに、その原因をお話ししました。
周りの人に不快感を与える可能性もあるため、できれば予防したいものですよね。
そこで今回は、おすすめの口臭対策をいくつか紹介します。就寝前と起床時とでそれぞれ挙げられるので、整理しながら読み進めてくださいね。
すぐに始められそうなことから、継続してみましょう。
1.寝る前に行うべきこと
1-1.丁寧なブラッシング
細菌数を減少させるには、口の中を清潔に保つことが何よりも大切です。特に寝ている間は、唾液量が減ったり口腔内が乾いたりして細菌が増えやすくなります。
日々のブラッシングを丁寧に行い、細菌数を最大限減らした上で眠りにつきましょう。もちろん、朝や昼間のブラッシングもお忘れなく。
歯ブラシだけでも汚れはある程度落とせますが、完全に取り除くことは困難です。デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、すみずみまでキレイに磨きましょう。殺菌効果が見込めるマウスウォッシュを使うのもおすすめです。
1-2.舌苔(ぜったい)の手入れ
鏡の前で舌を思いっきり出した際、表面に白あるいは黄色のコケのようなものが付着していませんか?この汚れを「舌苔」といいます。
舌苔は細菌の生息地ですので、日頃からケアして取り除く必要があります。ブラッシングの際に、専用のブラシを使ってキレイにしましょう。
舌を傷付ける恐れがあるため、歯ブラシでゴシゴシとこするのはNGです。
1-3.水分補給
寝ている間は口腔内が乾き、脱水状態になりやすいです。「就寝中も定期的な水分補給を」…ということは難しいので、寝る前に水を飲む習慣を身につけてください。コップ1杯程度の水で構いません。
トイレに行きたくなって起きることを避けたい方は、うがいを数回するだけでもOKです。
お酒を飲んだ日は特に乾燥しやすいため、忘れず実施してください。アルコールの利尿作用で、より脱水状態となりやすいので注意が必要です。
1-4.ストレッチ
ストレスや疲れが溜まっていると、唾液の分泌量は普段以上に減少します。
適度なストレッチをして、血流の促進を図りましょう。薄暗い明かりの中で、深呼吸をしつつ落ち着いて行うのが理想です。全身へ酸素が少しずつ届いて、ストレス発散にもなるでしょう。筋肉が弛緩し、唾液量も徐々に増えるはずです。
場合によっては、睡眠の向上にもつながるかもしれません。
1-5.夕食の献立を工夫する
口臭を避けたい日の前日は、夕食の献立を工夫しましょう。キムチやニンニクなど、ニオイがあるものは避けるのが無難です。
食後にタブレットなどを飲んでも、消化の際に強烈なニオイを放つので注意してください。
2.起きたらすべきこと
2-1.ブラッシング
起きた直後にブラッシングすることで、繁殖した細菌を洗浄できます。一緒に寝ている人がいるときは、少し早めに起床して済ませておくのがおすすめです。
2-2.マッサージ
唾液腺を指でほぐすと、唾液の分泌が促進されて口腔内を洗浄・殺菌してくれます。
耳と奥歯の間を、外から軽く押すようにして円を描いてください。唾液分泌量の約30%を占める唾液腺は、耳の前側の下の方にあるためです。
時間があれば、10回を3セット行うのが理想です。
3.歯科医院での治療について
先述した対策をとっても改善されない場合は、かかりつけの歯科医院で相談するのがおすすめです。
具体的に受けられる治療は、次の通りです。
3-1.歯周病治療
歯と歯茎との間に食べかすが残っていると、そこに細菌が付着して歯石になります。歯石は自力で落とすことが難しく、放置すると歯槽骨を少しずつ溶かしていくでしょう。
早めに歯科医院へ行き、適切な治療を受けることが大切です。歯周病を治すことで、ガスを放つ細菌が減少するので口臭の軽減にもなります。
3-2.むし歯治療
むし歯菌が神経にまで到達すると、耐えがたい痛みが生じます。それと同時に、強い腐敗臭を放つようにもなるでしょう。
この頃になると歯科医院を受診する方が大半だと思いますが、痛みは一定のレベルを超えると消失します。神経がむし歯菌に侵され、壊死するためです。
これは痛みを感じなくなっただけであり、治ったわけではないので注意してください。むし歯は、超初期段階でない限り自然治癒しません。
むし歯菌が血管に侵入すると、全身にまわって重篤な症状を引き起こす恐れがあります。少しでも異変を感じたら、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
3-3.ブラッシング指導
ブラッシングの仕方に問題があると、口腔内の細菌は増える一方です。歯科衛生士に適切なブラッシング方法を指導してもらい、正しくケアしましょう。
なお強い力でゴシゴシと磨くと、エナメル質(歯の表面を覆っているもの)が剥げて歯茎の損傷や知覚過敏になる恐れがあります。
歯科治療に任せきりにするのではなく、自宅でも適切なセルフケアをするよう努めましょう。
口腔ケアを習慣化しましょう!
我々の口腔内には、常時1億~2億個の菌が生息しています。日頃は唾液の洗浄作用や殺菌作用で適切な状態をキープしていますが、口腔内が乾くと悪臭を放出するようになります。
寝る前、そして起きた直後に行なうべきことを習慣化し、細菌の減少と繁殖の予防に努めてください。
自力での改善が見込めない場合、何かの病気が潜んでいる可能性があります。早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けてください。