前回は痛みに対する応急処置のNG行為と、自宅でできる対処法を紹介しました。
今回は「腫れ」にフォーカスし、適切な対処法について解説します。

 

自宅でできる応急処置

歯茎の腫れには必ず原因が潜んでいます。
それを突き止めることで、症状の緩和につながるでしょう。場合によっては、痛みも軽減できて一石二鳥です。

 

1.患部の周りのブラッシング

歯茎の腫れは、歯茎自体に細菌が繁殖して起こると考えられがちです。しかし9割以上は、歯の周囲に付着した細菌が原因とされています。
それを取り除くには、ブラッシングが一番です。歯ブラシを歯にやさしく当て、鏡を見ながら歯垢(プラーク)を丁寧に除去しましょう。
出血することがありますが、問題ないので気にしないでOKです。ただ、歯茎に毛先が当たらないよう意識してください。

 

【ブラッシングの際の注意点】

・患部やその周りを、歯ブラシの毛先でマッサージするように磨くのはNGです。特に効果がありませんし、場合によっては歯茎を傷付けてしまいます。痛みが増したり、病状が悪化したりする恐れがあるでしょう。

 

2.洗口剤で口腔内を消毒する

口腔内の細菌を取り除く方法として、殺菌効果が見込める洗口液を使用するのも有効です。効果は一時的なものですが、細菌の増殖を抑制できるでしょう。
寝る前に普段通りのブラッシングをしたら、洗口剤で口をゆすいでください。

 

【洗口剤を用いる際の注意点】

・殺菌効果がある製品を使用しましょう。むし歯予防効果のみを謳う製品は、基本的に歯茎の腫れには効きません。
・中には「これ1本で口腔トラブルを治せます!」といったキャッチコピーの製品もありますが、洗口剤1本で根本的な原因にアプローチするのは困難です。あくまで、一時的に症状を抑える手段であることを理解した上で使用してください。
歯の表面に付着した歯垢(=細菌)は、歯科医院の機器や歯ブラシを使うことで初めて落とせるためです。うがいだけでキレイにすることは、まず不可能だと考えておきましょう。

 

3.薬剤で細菌数を減少させる

活発に動く細菌数を減らすためには、抗菌薬を服用するのが有効です。患部に直接アプローチできるので、細菌数を減少させて腫れを軽減します。
ただし市販の抗菌薬を自己判断で服用するのは、歯科医院を受診するまでの一時的な応急処置に限ります。過度な服用は避け、不安な場合は事前にかかりつけ医へ確認してください。

 

今回は、歯茎が腫れた場合の対処法を紹介しました。
次回も同じテーマで、腫れの原因や治療法について解説します。

ケン歯科クリニック